平成29年5月13日
糖尿病の患者さんの治療の目標値については、めぐるましく新しい知見が報告され数年ごとにいろいろな変更が行われています。
一体どのぐらいが妥当な目標になるのでしょうか。現地点での糖尿病患者さんの、血糖コントロール(HbA1c)・血圧・脂質の目標値をまとめてみましたので、この機会に一度知識を新たしくしてみてはいかがでしょうか。
なお、この資料は主に "糖尿病資料ガイドライン2016 日本糖尿病学会編 "を参照して作成しています。PDFでもまとめていますので、印刷される際はこちらからダウンロードしてご利用ください。
糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標値HbA1c(%)
目標 |
① |
② |
③ |
血糖正常化を 目指す際の目標 |
合併症予防 のための目標 |
治療強化が 困難な際の目標 |
|
HbA1c(%) |
6.0未満 |
7.0未満 |
8.0未満 |
① 適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標値
② 対応する血糖値は、おおよそ空腹時130未満、食後2時間180未満(参考値)
③ 低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標値
高齢者糖尿病患者さんの血糖コントロールの目標値HbA1c(%)
健康状態 |
I |
II |
III |
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認知能力 |
正常 |
軽度認知症 |
中等度以上 の認知症 |
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日常生活動作 |
自立 |
軽度低下 |
低下 |
||
その他 |
併存疾患や機能障害 |
||||
重症低血糖の危険のある薬剤の使用 |
なし |
7.0未満 |
7.0未満 |
8.0未満 |
|
あり |
65歳~ 75歳未満 |
75歳以上 |
8.0%未満 (下限7.0%) |
8.5%未満 (下限7.5%) |
|
7.5%未満 (下限6.5%) |
8.0%未満 (下限7.0%) |
高齢者糖尿病においても、合併症予防のための目標値は7.0%未満。問題なく達成可能な場合の目標値は6.0%未満、治療強化の難しい場合の目標値は8.0%未満です
糖尿病患者さんの高血圧・脂質異常の治療目標値
高血圧 治療を開始する場合、また開始後の治療目標値は
診察室血圧 130 / 80 mmHg
家庭血圧 125 / 75 mmHg です。
(診察室血圧・家庭血圧に差があるときは家庭血圧を優先します)
診察室血圧が
① 140 / 90mmHg 以上の時はすぐに降圧薬を開始します
② 130~139/80~89mmHgの場合は、しばらく(3か月程度まで)生活習慣の是正による降圧を試み改善しなかった場合には降圧薬を開始します。
脂質異常症
コレステロールと中性脂肪の目標値は表のとおりです。
コントロール目標値 |
||||
冠動脈疾患既往 |
LDL コレステロール |
HDL コレステロール |
中性脂肪 |
Non-HDL コレステロール |
なし |
120未満 |
40以上 |
150未満 |
150未満 |
あり |
100未満 |
130未満 |
冠動脈疾患がなくても、リスクが高いと考えられる場合は冠動脈疾患ありの場合と同様の目標とします。